さて、
前回は私がバルセロナに住んでいたころ、頻繁にサグラダファミリアに通っていた話をしました。
工事が着々と進む中、5年後、10年後はどうなっているんだろう、
完成まで100年とも200年とも言われているけれど、完成したらどんな姿になっているんだろうと、
サグラダファミリアを見上げながら未来へ思いを馳せていました。
完成まで数百年かかったという建物は世の中に数多くあります。
ヨーロッパの多くの建造物(大聖堂や宮殿など)は長い年月をかけて作られたものが多いです。
けれど、私達は完成した姿しか知りません。歴史の産物として見ているのです。
それがいかにして作られたか、時の流れと共に少しずつ大きくなっていく様を実際に見ることは出来ないのです。
もちろん、近代的な建物なら見る機会もあると思います。
スカイツリーの誕生を着工から毎日見守ったという人も少なからずいることでしょう。
ですが、100年以上前(正確には1882年)に建設が始まった建物(石造りです!)の成長を今なお見れるのは、
サグラダファミリアだけだと思います。
「いや、どこどこの国のこれこれ言う町に、ほにゃららという建物が今も建設真っ最中です!」という情報を
ご存じの方はぜひ教えてくださいね!
とにかく、あれだけの規模のものが今も建設中で、その成長を見守ることができる建物は珍しいと
いうことなのです。
「何年も前にサグラダファミリアに行ったわ」という方が今もう一度行ったなら・・・、
その成長ぶりに驚き、感動するはずです!
「まぁ、サグラダファミリアちゃん!しばらく見ない間におおきくなって!見違えたわよー、おばさん嬉しいわー。」と懐かしさと暖かい愛情が胸の奥から混みあがってくるはずなのです。
では、
6年間に及ぶバルセロナ生活の中で、恋人に会いに行くかのごとくサグラダファミリアに足しげく通っていた私が、
ほぼ7年ぶりに再訪したときの心情をどうかお察しください。
「THE・昇天」(天使のラッパがパー)でございました。
「サグラダファミリアがこんなに、こんなにすばらしく・・・、う、ううう・・・(感無量)」と言葉がのどにつっかえる始末。ちょっと冗談っぽく書いていますが、本当に本当に心から感動したのです。
前置きはこれくらいにして、みなさまお待ちかね、私がサグラダファミリアの中へ入ったときの話を、
写真とともに振り返ってまいりましょう。
地下鉄の駅、Sagrada Familiaで降り、地上へ上がっていくと、目の前にそびえたつ姿。しばし足を止め、
仰ぎました。Avenida de Gaudi(サグラダファミリアのすぐ近くにある通り)も変わらずそこにあることを確認し、ネットで入場券を購入した人専用の入り口から中へ。
1904年に完成した生誕の門のファザード。イエスキリストの生誕を表しています。聖母マリアとヨセフ、
そして生まれたばかりのイエスキリストを羊飼いや動物、天使たちが祝福しています。
美しいですねぇ(ため息が出ます)。数年前に内部が公開されるまでは、外側からサグラダファミリアを見て写真を撮るのが主でした。このファザードの前には多くの観光客がカメラを手に写真を撮っています。
夜はライトアップされるので(前編で写真が見れますよ)、近くの公園のベンチに座って池の水面に映る姿を見ることができます。
ぜひ、日中は中に入って近くからひとつひとつの彫刻を見て、日が暮れてからはライトアップを少し離れたところから見てほしいです(昼も夜も何度でも行く価値がありますよ)。
さて、ではいよいよ中へ入っていきます。
ごらんください、この扉のかわいいこと!!森の国の世界へ誘われているようです。
どきどきしながら中へ入っていくと、見たことのない空間が目の前に広がっていました。
「えーーーー!!!サグラダ・ファミリア??これが、サグラダファミリア??えーーーー!!???」
あまりのまぶしさに目が眩み、立ち竦んでしまいました。息を呑む美しさです。
「すごい、サグラダファミリア、すごいすごいすごいーーー!!!」
と感動に打ち震えました(ボキャブラリーが少なくてすいません。でも、すごいしか言えないんですよ、本当に)
あちこち布に覆われて、工事用の機材と山積みの石を見ていた私(内部はそういうイメージだったのです)にとっては信じられない光景でした。
「ここはどこ?わたしはだぁれ?」と隣の観光客に聞きたい気分でした。
ステンドグラスがまさにガウディです!バルセロナの郊外にコロニアグエル教会という教会がありますが、
そこのステンドグラスがとってもかわいいデザインで大好きなのですが、サグラダファミリアの内部にもたくさんのステンドグラスがあって、そこから光が優しく差し込み、すべてを照らしてくれています。
ガウディはサグラダファミリアを作るときに、完璧な教会を作ることを目指したのです。どの角度からも日光が入る設計によって、祈りをささげる人たちに暖かな光が降り注ぐ。何本もの塔は楽器の役割を果たし、バルセロナの町中に鐘の音が鳴り響く・・・。ガウディはサグラダファミリアを明るい教会にしたいと考えていたのです。生誕の門には84本の鐘があって、巨大なピアノに、そして反対側にある受難の門はパイプオルガンになるそうです。
ガウディが夢見ていた構想のひとつは、サグラダファミリアを楽器にすることだったそうです。光と音の融合。
ガウディが思い描いた未来は、地上における神の世界だったのかなと個人的に思っています。
グエル公園やカサ・ミラなどを見ても分かりますが、ガウディは直線を好まなかったそうです。
「仕事場の近くにある1本の樹が自分の師である」との言葉通り、ガウディは幼いころから自然界にあるものを観察するのが好きでした。
自然界のものに直線はない、すべては丸み帯びていると言っていたそうです。自然は完璧な存在と信じ、
花や草木、鳥や虫を愛でている幼きころのガウディ少年の姿が目に浮かびます。ガウディの世界観はそうやって
彩られていったのですね。
写真を山ほど撮ったので、ぜひ見てください。色彩の美しさを少しでも感じてもらえたら嬉しいです!
天井がまたすばらしいんですよ!
私はヨーロッパをいろいろ旅して、たくさんの教会を見てきましたが、こんな天井は他にはありません!
この独特なモチーフ、色合い、デザインは圧巻です。
あの工事のおじちゃんたち、こんなすばらしいものを作っていたなんて!!!
山積みにされた石、かんかんかんと響いていた叩く音、それらすべてを思い出します。
あのころは、まさかここまで美しいものを作っているとは思いませんでした。
良い意味で私の想像を超えてくれたのです。
光が反射して本当にきれいです。椅子に座りながらぼーっとするだけで心が洗われます。
この内部は森をイメージしています。天井からも差し込む光を見ていると、まるで木漏れ日のようです。
詳しい説明を読むと、葉の狭間から光が差し込む様子を再現する設計になっているそうです。
優しい森の国ですね!
百聞は一見に如かずということで、たくさん写真を見ていただきました。
私も写真を見返しながら、そのときの感情がありありと蘇ってくるようです。
最近はテレビでガウディの特集を見る機会も増えていますし、テレビや雑誌で映像を見ることもできます。
けれど、実物に勝る感動はありません。私も写真で見ていたのです。内部が公開されたあとに行った生徒さんから見せてもらっていたのです。それでも、実際に自分の眼で見たときの感動は言葉では言い尽くせないものでした。
本当に涙が出たのです。私が涙もろいというのもあるかもしれません。7年ぶりに見て、その成長ぶりに圧倒されたのもあります。けれど、私にとってサグラダファミリアは涙が出るくらいすばらしい感動をくれる存在です。
前に訪れたことがある人も、初めての人も、たくさんの光に包まれながら心が満たされていくのを感じることが
できると思います。もちろん、人の感性はそれぞれなので、さらっと見て終わりといういう人もいると思います。
それはそれでいいんだと思います。何を感じるかは人それぞれです。大事なのは、自分の眼で見ること、肌で感じることです。
なので、ぜひ一度訪れて、自分が何を感じるか、何を思うか、経験してみてください。
では、今日はこれくらいにしますね。次回はガウディについて書きたいと思います。サグラダファミリアの内部についても説明しますね。ガウディの人生や人柄についても書きますので、楽しみにしていてください!
では、hasta pronto!
☆今日のスペイン語メモ☆
Vitral ステンドグラス
Construccion 建設
Interior 内部
Entrada 入場券
Cola 行列
Diseño デザイン
Obra 工事